JCCO 日本クレジットカウンセリング協会

家計を握った若妻の作戦勝ち

相談者は30歳代のホテルマン、勤続は10年以上。ホテル内のバーで夜間勤務する中で、パチンコで憂さ晴らしをする習慣ができ、結婚の際には消費者金融1社に60万円余りの借金があった。しかし、すでに身重だった新妻には打ち明けかね放置していたところ、督促状が自宅に届いて、双方の実家を巻き込む騒ぎとなった。

初回のカウンセリングでは、目線を伏せすべて他人事のような雰囲気で座っていた相談者に対し、20歳代前半の妻は「本気で解決する姿を見せてくれるまで別居する。」と宣言。夫はその後実家に戻り母親と同居することとなった。夫の16万円の給料は全額妻に渡し、返済原資も家計表もすべて妻が管理、夫は妻から小遣い1万円だけ受け取る形とした。実家の母も止むを得ないと息子の扶養を容認し、半年が経過。

変則的な生活の行方を心配しつつ見守っていたところ、妻は浮いた夫の生活費を貯金して返済原資とし、月3万円の返済原資が15万円貯まった4カ月目になって「早く返済開始したい。」と申し出てきた。その希望を容れた弁護士が3年分割案を提案、業者との和解に至った。

その後すぐに同居するのかと思いきや、住居費の負担の軽い市営住宅が当たるまでは同居しないと妻の意思は固く、あくまで借金問題の解決が全てに優先するとのスタンスを崩していない。

夫は、妻の要求をすべて受け容れ、現在は昼間働ける仕事を探している。覇気を取り戻し、かわいい妻に抱かれた愛娘にそそぐ相談者の幸せそうな表情をみていると、夫の性格をよく理解している聡明な妻の、お見事ともいうべき作戦勝ちなのかもしれない。