JCCO 日本クレジットカウンセリング協会

住宅を息子のために残したい

50歳代女性。2年ほど前に夫と離婚後、夫名義の住宅にそのまま暮らし、9百万円ほどの住宅ローンを払っていた。加えて、3人の子供(現在は独立した)の教育費等の返済も膨らんでしまい、困り果てて相談してきた。

4つの仕事を掛け持ちし昼夜無く働き、それによる月収は30万円程度あるものの、債務額は住宅ローンの他に約320万円、住宅ローン以外の返済額は月12万円ほどであった。

初回面談で、夫名義の土地住宅であるので、破産を強く勧めたが、本人は今まで、住宅を息子のために残したい、借金もきちんと返済するとの一心で頑張ってきたので、絶対に破産はしたくないと切望。弁護士としては、無理な仕事の掛け持ちをやめて欲しいとの気持ちはあったが、相談者はとても真面目で前向きな性格であり、カウンセリングを受けて、家計簿も毎月丁寧に付け、きちんと返済原資を貯めてきたため、本人の意思を尊重して任意整理を行うこととした。

協会介入は金利の高い4社で債務額は120万円程度であったが、引き直し計算の結果80万円に圧縮された。半年間、返済原資をしっかり貯めたこともあり、3年間月2万円の返済という本人に負担の少ない形での返済計画で債権者と和解が成立した。

同居している2人の子供は、現在しっかりした定職にはついておらず、住宅ローンも残っているため、まだ一安心とはいかない情況ではある。しかし、介入案件については、返済の目途がつき、終了カウンセリングでの相談者のほっとした表情が忘れられない。借金返済のことしか頭に無い生活を長く続けてきた相談者であったが、少しずつ老後のことにも目を向ける余裕も出てきたようだった。